女権宣言とフランス女性の歩み
フランスの女性が現在の地位を獲得するまでには、長い道のりがありました。
1970年代に入ると、女性解放の運動は成果を表すようになるのですが、
近代まで続いていた「ナポレオン法典」(1804年制定)第213条によると、
「夫はその妻の保護義務を負い、妻はその夫の服従義務に従う」とあります。
つまり、女性は男性に服従することが法律で定められていたのです。
20世紀に入り、少しずつ憲法が改正され、1938年には、妻の夫への服従義務も
廃止されました。
そもそも「女性の権利を明確にする宣言=女権宣言」は、18世紀に行われて
いました。
しかし、その中身は完全に無視され、そのまま20世紀に入ったのです。
ナポレオン法典は、第二次対戦終結以後、少しずつの変化こそあったものの、
本格的に女性が活動して「女性解放運動」を巻き起こした1968年以後、
女性の地位確立は急速に高まりました。
そして、1975年、離婚法の改定で、離婚の自由化が行われ、離婚も協議離婚に
よって、男女双方の立場を踏まえた離婚ができるようになりました。
この頃から、フランスではカップルが結婚だけでなく、事実婚や同棲といった
共同生活を選択するようになり、女性への束縛もなくなっていったのだと思います。
「女権宣言」から2世紀の時を経て、ようやくその言葉の内容通り、女性への
権利が認められるようになったのです。