体外受精の是非
人工授精、体外受精に関する是非は、フランスのみならず、どこの国でも
常に議論の対象となりうるものです。
妊娠は、男女の性行為によって初めて可能になります。
母親である女性が父親との子供を妊娠出産する、というのが、私たちが持つ
「一般常識」です。
ところが、この常識を覆す妊娠出産があるとすれば、それをどう受け止めたら
良いのでしょう?
つまり、両親の遺伝子を受け継いだ子供が、母親からではなく、別の女性から
生まれてくる、など・・・。
フランスでは、生殖医療は基本的に合法であり、保険も適用されます。
不妊症に悩む女性が、迷わず生殖医療を受けて、妊娠出産を希望するように
なるのは言うまでもないことです。
しかし、体外受精に関しては、法律が複雑化します。
確実に違法行為に該当するのは、卵子・精子ともに第三者から提供された
場合の人工授精です。
体外受精では、精子か卵子のどちらかが実親のものでなくてはなりません。
しかし、ここでも問題は起きます。
両親が自分たちの受精卵を第三者による出産に託すことで、体外受精を
引き受けた側と、依頼した側が、その親権を争うということも実際には
起きているのです。
また、代理母になることは、法律で禁止されています。
それでも子供を持ちたいという親は多いわけで、法を犯す人の割合は
減ることもなく、体外受精や代理母に関する議論は、まだまだ続けて
いかなくてはならない、大きな課題です。