人工中絶は女性の権利
日本では、中絶は一応承認されています。
しかし、妊娠とは、避妊を怠った末の「情けない結果」であり、中絶は
するものの、社会的には中絶した女性の立場は弱いもののように思います。
フランスでは、「中絶は個人の意思によるもの。周りはそれを尊重すべき」
という考え方がメインなので、中絶した女性が社会で肩身の狭い思いを
することは、全くありません。
そして、驚くことに、中絶費用も保険扱いになります。
フランスでは、かつて中絶を合法化するための大規模な運動が行われました。
(「ヴェイユ法」参照)
もともとカトリックの影響の強いフランスは、カトリックの教えに則り、
「子供は神様からの授かりものである」という意識が一般的だったのです。
しかし、もし不幸にも妊娠してしまい、望まれない子供が生まれる可能性が
あるのだとしたら、それでも生むべきなのでしょうか?
フランス人は、「生むべきではない」という選択をしました。
この運動が功を奏し、今では中絶は当たり前のこととなっています。
しかし、安易に妊娠しているわけでもないのです。
避妊のために、女性は大抵ピルを服用しています。
更に、中絶の合法化を補うように妊婦への医療配慮を充実化させたことで、
出生率は逆に上がるという結果を生み出しました。
倫理観の問題が絡むと、どうしても先に進まない問題かもしれませんが、
フランス人は、自分たちが出した結論に、大変満足しているようです。